横浜内陸部の緑豊かで長閑な住宅街、その中を走る県道沿いに愛愛賓館(アイアイヒンカン)はあります。
一見ラブホテルとは思えないような外観をしているのは、元々はマンションとして建てられた建物を用途変更した物件だからだそうです。
(各部屋にベランダが付いているのもそのためですが、ベランダはホテル利用者が使用できないようになっています。)
この落ち着きのある外観とは裏腹に、客室には奇想天外な世界が広がっています。
このホテルの特徴的な点は、学校の教室、工事現場、病院の診察室、公園といった私達の日常生活でも身近な場所が、インテリアデザインのテーマとして多用されているところです。
しかし、あくまでテーマとしているだけで、空間デザインは現実のそれらとはかけ離れたものとなっています。
このデザインの発想の原点は日本のアダルトビデオだそうで、そこで展開される様々なシチュエーションを参考に、客室のテーマ設定から細部のデザインまでを決めていったそうです。
その経緯を踏まえて再度客室のデザインを見てみると、日本のアダルトビデオにおける現実と地続きなシーン設定と、そこで繰り広げられる非現実的なストーリー展開の関係性に近いものが感じられます。
ある意味で、非常に日本らしい空間とも言えるかもしれません。